--- title: "特別交付税に関する省令とは:特別交付税の算定と資料" description: "特別交付税に関する省令について、道府県と市町村、十二月分と三月分の算定区分を整理します。自治体の財政担当者が算定資料の提出、額の調整、災害時の繰上げ交付の根拠を確認するための解説です。" date: 2026-09-15 category: 法令解説 tags: [地方財政, 特別交付税] related_laws: [351M50000008035] draft: false --- 特別交付税に関する省令(昭和51年自治省令第35号、法令ID:`351M50000008035`)は、特別交付税の算定資料、交付時期ごとの算定方法、額の調整などを定めています。[法令全集](/view/351M50000008035)と[e-Gov法令検索](https://laws.e-gov.go.jp/law/351M50000008035/20260316_508M60000008025)で条文を確認できます。自治体の財政担当者が、特別な財政需要に関する資料の整理や交付額の根拠確認をする場面で参照する省令です。この記事では2026年9月15日時点の施行条文に基づく算定の区分と手続を説明し、個々の自治体の交付額の試算や、未公表の将来の算定項目は扱いません。 ## 十二月分と三月分を分ける算定条文 この省令は、道府県と市町村、十二月分と三月分を掛け合わせて算定条文を配置しています。第2条は道府県の十二月分、第3条は市町村の十二月分、第4条は道府県の三月分、第5条は市町村の三月分です。交付対象となる団体と時期を特定することが、項目や表を読む前の出発点になります。 例えば、市町村の資料を整理しているときに、同じ事業分野という理由だけで道府県の算定条文を使うことはできません。条文は地方団体の区分ごとに組み立てられています。また、十二月と三月の算定を一つの計算にまとめてしまうと、別の交付時期の算定や調整に関する参照関係を見失います。 | 対象 | 十二月分 | 三月分 | |---|---|---| | 道府県 | 第2条 | 第4条 | | 市町村 | 第3条 | 第5条 | | 都 | 第9条第1項の特例 | 第9条第2項の特例 | 第6条は、十二月に交付すべき額を12月31日までに、三月に交付すべき額を3月31日までに決定することを総務大臣に求めています。これは「額の決定」の期限です。個別の資料提出日を一律にこの日とする規定ではなく、提出日は第1条により総務大臣が指定する仕組みになっています。算定の対象時期、決定期限、資料提出日を別々に押さえると、事務の流れを読み取りやすくなります。根拠は[省令第2条から第6条・第9条](https://laws.e-gov.go.jp/law/351M50000008035/20260316_508M60000008025)です。 ## 算定資料は市町村から都道府県を経由する 第1条では、都道府県知事と市町村長について資料作成・提出の経路を分けています。都道府県知事は、総務大臣の定める様式で当該都道府県の算定資料等を作成し、指定日までに総務大臣へ提出します。市町村長は、同じく定められた様式で作成し、指定日までに都道府県知事へ提出します。 この規定だけから全国共通の固定された提出日や、記事執筆時点での具体的なファイル形式を導くことはできません。省令本文が定めるのは、様式や提出日を総務大臣が定めることと、提出の責任主体・相手方です。実際に資料を準備する際の年度別の様式と日程は、その指定内容と対応させる必要があります。 第7条では、都道府県知事が第3条・第5条などに基づいて市町村ごとの額を算定し、総務大臣の定める日までに報告することを定めています。都道府県は単に資料を転送するだけの位置づけではなく、市町村ごとの算定を担います。また同条第2項は、列挙された事項について算定方法に準ずる方法を用いることを認めています。 こうした構造から、資料を提出する段階と、提出資料を使って額を算定・報告する段階を分けて把握できます。市町村の支出資料をそのまま最終交付額と読み替えるのではなく、どの算定項目に対応する事実なのか、算定と報告がどの規定に基づくのかを追うことになります。根拠は[第1条・第7条](https://laws.e-gov.go.jp/law/351M50000008035/20260316_508M60000008025)です。 ## 特別な財政事情による増額と過大算定の調整 第8条は、通常の算定条文で計算した額について、特別な事情を考慮する仕組みを置いています。第1項は、市町村について所定の事情があり、算定額がなお過少と認められる場合に、総務大臣が都道府県知事の意見を聞いて三月分を増額できるとする規定です。 列挙されている事情には、基準財政需要額の算定の基礎となった投資的経費の額の過少算定、渉外関係の特別な財政需要、産炭地域対策、低湿地帯に関する財政需要などがあります。加えて、特別な財政需要の増加や財政収入の減少等の事情も掲げられています。ただし、ある支出の名称がこれらに近いというだけで自動的な増額を約束する条文ではありません。過少との認定、事情の考慮、都道府県知事からの意見聴取を含む規定として読む必要があります。 第2項は逆方向の調整です。十二月分に関する第2条・第3条・第7条による算定額が特別な事情により過大と認められる場合、三月分から過大算定額相当を減額できるとしています。第3項では、三月分で減額できなかったときに、翌年度以降の特別交付税から減額できることも定めています。 このように、特例は増額だけの制度ではありません。通常の算定と特別な事情との関係を調整し、過大な算定については後の時期にも調整を及ぼす構造です。算定資料と交付額の差を確認する場面では、項目ごとの計算に加えて、この調整規定があることも押さえられます。出典は[第8条](https://laws.e-gov.go.jp/law/351M50000008035/20260316_508M60000008025)です。 ## 都の算定と災害時の繰上げ交付 第9条は、都について道府県向けの算定と、特別区の存する区域を市とみなした算定を組み合わせる特例を設けています。十二月分と三月分を別の項に分け、それぞれ参照する加算側・控除側の額を示しています。道府県または市町村の一方の計算だけを当てはめるのではなく、都のために組み合わせた規定を読む必要があります。 同条には、計算した額が負数になる場合は零とする旨もあります。ここでは算定上の加減算と、交付すべき額としての処理が明示されています。特別区に関する部分も含め、どの地域単位を計算の対象としているかが、条文の参照関係を理解する鍵になります。 一方、第10条は、大規模な災害によって被害を受けた地域の地方団体に対する繰上げ交付を定めています。対象団体、時期、額は、災害による特別な財政需要の額等を考慮して総務大臣が定めます。災害名だけで全国一律の額や一律の日程を定める仕組みではありません。 繰上げ交付の後は、各交付時期に交付すべき額から繰上げ分を順次控除するのが第3項の規定です。ただし、総務大臣が控除することを適当でないと認める交付時期には控除しないことができます。繰上げは交付の時期に関する措置であり、別枠の追加額として単純に年間額へ加えるものではないことが、この条文から分かります。出典は[第9条・第10条](https://laws.e-gov.go.jp/law/351M50000008035/20260316_508M60000008025)です。 ## 参考リンク 算定項目の詳細と参照関係は、2026年3月16日施行版の公式条文で確認できます。 - [e-Gov法令検索:特別交付税に関する省令](https://laws.e-gov.go.jp/law/351M50000008035/20260316_508M60000008025) - [e-Gov法令API:同施行版の条文](https://laws.e-gov.go.jp/api/2/law_data/351M50000008035_20260316_508M60000008025)