--- title: "公職選挙法とは:選挙の種類と選挙運動の枠組み" description: "公職選挙法の国政・地方選挙の資格、選挙人名簿と投票用紙の記載を解説。期日前投票と不在者投票、候補者の届出と運動期間、ウェブと電子メールの区分、選挙運動の収支管理を整理します。" date: 2026-09-15 category: 法令解説 tags: [選挙制度, 選挙運動] related_laws: [325AC1000000100] draft: false --- 公職選挙法(昭和25年法律第100号、法令ID:`325AC1000000100`)は、国会議員と地方公共団体の議員・長の選挙について、選挙権、投票、候補者、選挙運動、収支などを定めます。有権者や選挙事務に関わる人が、投票の方法や選挙運動の制度を確認する際の基本となる法律です。この記事では選挙の種類と手続の枠組みを扱い、個別の発信・寄附・運動の適法性は判断しません。[法令全文](/view/325AC1000000100)と[e-Govの条文](https://laws.e-gov.go.jp/law/325AC1000000100?occasion_date=20260915)を参照し、2026年9月15日時点の内容を説明します。 ## 国政選挙と地方選挙で資格を分ける 第2条は適用対象を、衆議院議員、参議院議員、地方公共団体の議会の議員と長の選挙としています。名称に「選挙」と付くあらゆる投票を一律に対象とする法律ではありません。 第9条は国政選挙の選挙権について、日本国民で満18歳以上であることを定めます。地方選挙では年齢・国籍に加え、住所に関する要件があり、都道府県内で転居した場合等にも規定があります。国政と地方の選挙権を、年齢だけで同じものとして扱うことはできません。 第10条の被選挙権も選挙の種類ごとに分かれています。衆議院議員は満25歳以上、参議院議員と都道府県知事は満30歳以上、市町村長は満25歳以上です。地方議会の議員には満25歳以上であることに加え、その選挙権を有する条件があります。選ぶ側の資格と候補者となる資格は別の条文に置かれ、年齢の算定は選挙期日によると定められています。制度を調べる際は、国政か地方か、議員か長かという区分を先に確定する構成です。[根拠:第2条・第9条・第10条](https://laws.e-gov.go.jp/law/325AC1000000100?occasion_date=20260915) ## 選挙人名簿と投票用紙の記載 第19条は市町村の選挙管理委員会が選挙人名簿を調製・保管し、定期の登録と選挙時の登録を行うと定めます。第42条は、例外を設けつつ、名簿への登録と投票を結び付けています。 選挙権を有することと、名簿で投票資格を確認することは制度上別の段階です。在外選挙人名簿にも独立した章があり、投票の前提となる資格確認の仕組みが整えられています。選挙当日の投票所だけに注目すると、名簿が果たす役割を見落とすことになります。 第46条は投票用紙に書く内容を区別しています。比例代表以外は候補者一人の氏名、衆議院比例代表は政党等の名称または略称、参議院比例代表は候補者名または政党等の名称・略称という構成です。同じ「比例代表」でも記載の仕組みが異なります。また、投票用紙に選挙人自身の氏名を書かないことも規定されています。選挙区等の制度と投票用紙の記載事項はつながっているため、投票の種類ごとに確認する必要があります。[根拠:第19条・第42条・第46条](https://laws.e-gov.go.jp/law/325AC1000000100?occasion_date=20260915) ## 期日前投票と不在者投票は手続が異なる 第48条の2の期日前投票と第49条の不在者投票は、どちらも選挙当日に通常の投票所で投票する方法とは別の制度ですが、投票の場所や管理方法が異なります。 期日前投票は、仕事、旅行、疾病等、条文が掲げる事由に選挙当日該当すると見込まれる選挙人について、公示・告示の翌日から選挙期日の前日まで、期日前投票所で行う仕組みです。複数の期日前投票所を設ける場合には、重複投票を防ぐ措置も規定されています。期間だけでなく、投票を管理する制度も条文に含まれています。 不在者投票は、不在者投票管理者の管理する場所で記載し、封筒に入れて提出する方法等を定めています。一定の重度の障害がある選挙人については郵便等による方法も置かれ、対象の細部は政令に委ねられています。選挙前に投票する行為をすべて「期日前投票」と呼ぶと、必要な手続や対象を取り違えます。条文は、当日の不在等に対応しつつ、異なる場所でも投票を管理できるよう複数の方法を設けています。[根拠:第48条の2・第49条](https://laws.e-gov.go.jp/law/325AC1000000100?occasion_date=20260915) ## 候補者の届出と選挙運動の期間 第9章は候補者、第13章は選挙運動を扱います。立候補の届出と選挙運動の期間を結び付け、候補者や政党等が行う活動を各選挙の制度に応じて規律しています。 第86条は衆議院小選挙区選挙の届出を扱い、比例代表等は別の条文に続きます。候補者本人による届出、推薦届出、政党等による届出を、選挙の種類に応じて規定する構成です。第129条は、対応する候補者等の届出があった日から選挙期日の前日までを、選挙運動ができる期間としています。選挙期日当日を通常の運動期間に含める条文ではありません。 運動方法については、例えば第138条が投票を得る等の目的で行う戸別訪問を禁止しています。公職選挙法は、政治に関するすべての発言を一つの運動方法として扱うのではなく、選挙運動、文書図画、演説、政治団体の活動等を別の条文・章に分けています。制度全体を読む際は、主体、目的、時期、方法という異なる条件を切り離さずに確認することが必要です。[根拠:第86条・第129条・第138条、第13章・第14章の3](https://laws.e-gov.go.jp/law/325AC1000000100?occasion_date=20260915) ## ウェブ発信・電子メールと収支の管理 インターネットを利用する選挙運動にも、手段別の規定があります。第142条の3のウェブサイト等と、第142条の4の電子メールは、条文上明確に区別されています。 ウェブサイト等の方法は、電子メールを除いたものとして定義されています。第142条の4は、電子メールで文書図画を頒布できる主体を、選挙の種類ごとに候補者や政党等に分けて掲げています。インターネットを使うから誰でも同じ方法を利用できる、という構成ではありません。また、第142条の3は選挙前日までに頒布した内容を当日も表示できる状態に置く規定を設け、運動期間との関係を調整しています。 金銭面では第14章が選挙運動の収入・支出・寄附を扱い、出納責任者や収支報告の制度を設けています。活動内容の規制と、活動資金の管理を別の制度として読む必要があります。さらに争訟と罰則の章が続きます。投票だけでなく、候補者の活動と資金、選挙後の争いまでを一つの法律で扱うことが、公職選挙法の広がりです。[根拠:第142条の3・第142条の4、第14~16章](https://laws.e-gov.go.jp/law/325AC1000000100?occasion_date=20260915) ## 出納責任者が収入・支出を記録して報告する 選挙運動の資金について、第180条は出納責任者を選任することを定めています。候補者が自ら担当する場合や、候補者の承諾を得た所定の主体が選任する場合も規定されています。単に会計を手伝う人がいるということではなく、法律上の責任者を明らかにする制度です。 選任した側は、出納責任者が支出できる金額の最高額を文書で定め、必要な届出を行います。第184条は、届出前の寄附の受領や支出を制限しています。立候補の届出と、資金を扱う責任者の届出は別の手続であり、運動を始める準備と資金管理の準備をそれぞれ規定しています。 第185条は、寄附その他の収入と支出を会計帳簿に記載する義務を定めます。金額だけでなく、寄附者や支出先の氏名・住所・職業、年月日、支出の目的などが対象です。金銭以外の財産上の利益も時価で評価する規定があり、現金の入出金のみを記録する仕組みではありません。 第189条では、選挙期日から15日以内に収入・支出を精算した報告書を提出し、その後の収支は別の期限で報告する構成になっています。支出を証する書面の写し等も関係します。選挙運動の期間は投票前日に終わっても、会計処理と報告はその後に続きます。活動の方法を規制する章とは別に、資金の責任者、記録、報告を定めることで、選挙を通じた収支を確認できるようにしています。[根拠:第180条・第184条・第185条・第189条](https://laws.e-gov.go.jp/law/325AC1000000100?occasion_date=20260915) ## 参考リンク 選挙の種類ごとの条件は、次の現行条文で確認できます。 - [e-Gov法令検索:公職選挙法](https://laws.e-gov.go.jp/law/325AC1000000100?occasion_date=20260915)