--- title: "国家公務員法とは:任用・服務・給与の基本枠組み" description: "国家公務員法(昭和22年法律第120号)の基本情報と条文構成を解説します。一般職・特別職、人事院、任用、給与、分限、懲戒、服務、退職管理の位置づけを紹介します。" date: 2026-05-21 category: 法令解説 tags: [国家公務員法, 公務員制度] related_laws: [322AC0000000120] draft: false --- 国家公務員法(法令ID:`322AC0000000120`)は、国家公務員たる職員について、任用、給与、人事評価、分限、懲戒、服務、退職管理などの基本的な規律を定める法律です。条文全文は[法令全集の国家公務員法ページ](/view/322AC0000000120)またはe-Gov法令検索([https://laws.e-gov.go.jp/](https://laws.e-gov.go.jp/))で無料で閲覧できます。 国家公務員制度は、国家公務員法を基本法として、人事院規則(人事院が定めるもの)、給与法(一般職の職員の給与に関する法律等)、国家公務員倫理法、退職手当法、育児休業法など多数の関連法令で構成されています。国家公務員法単体では制度の全体像がつかみにくいため、内閣人事局や人事院が公表する資料を合わせて参照することが重要です。 この記事では、国家公務員法の基本情報、条文の章別構成、主要制度の確認ポイントを整理します。個別の任用、服務義務、懲戒事由の適否を判断するものではありません。 ## 基本情報 国家公務員法は、昭和22年(1947年)に制定された法律です。第1条は、国家公務員たる職員について適用すべき根本基準を確立し、国民に対して公務の民主的かつ能率的な運営を保障することを目的としています。 | 項目 | 内容 | |---|---| | 正式名称 | 国家公務員法 | | 法令番号 | 昭和二十二年法律第百二十号 | | 法令ID | 322AC0000000120 | | 制定年 | 1947年 | | 主な分野 | 一般職、特別職、人事院、任用、給与、分限、懲戒、服務、退職管理 | 内閣人事局は、国家公務員法について、平等取扱いの原則、人事管理の原則、情勢適応の原則を定めるとともに、国家公務員制度の基本を定めていると説明しています。 国家公務員法の適用対象は「一般職」の国家公務員です。特別職(内閣総理大臣・国務大臣・裁判官・国会職員等)には国家公務員法は原則として適用されず、各職の根拠法令による規律が適用されます。 制定以来、勤務時間・育児休業・フレックスタイム・退職管理などの分野で改正が重ねられています。令和5年(2023年)改正では、定年の引上げ(60歳から65歳へ段階的引上げ)が行われており、施行スケジュールとともに確認が必要です。改正内容は人事院・内閣人事局のウェブサイトで確認できます。 ## 条文構成 国家公務員法は、総則、中央人事行政機関、職員に適用される基準、罰則などで構成されています。条文数が多く、人事院規則や給与法など関連法令とあわせて参照されることが多い法律です。 | 区分 | 主な内容 | |---|---| | 第一章 総則 | 目的、一般職・特別職、平等取扱い、人事管理の原則など | | 第二章 中央人事行政機関 | 人事院、内閣総理大臣、人事管理官等 | | 第三章 職員に適用される基準 | 任用、給与、人事評価、能率、分限、懲戒、保障、服務、退職管理等 | | 第四章 罰則 | 法令違反等に関する罰則 | | 附則 | 施行期日、経過措置等 | 全体を読むときは、第一章で適用対象と基本原則を確認し、第三章で任用・給与・服務など各制度を追うと整理しやすくなります。 第三章は条文数が多く、任用(第33条〜第61条)、給与(第62条〜第70条)、能率(第71条〜第75条)、保障(第76条〜第84条)、服務(第96条〜第106条の2)、退職管理(第106条の2〜第106条の26)などが節ごとに分かれています。目次で全体像を把握してから、確認したい制度の節を開くと効率的です。なお、給与の具体的な額は「一般職の職員の給与に関する法律」(給与法)を別途確認する必要があります。 ## 一般職と特別職 国家公務員法の適用範囲を確認するうえで、一般職と特別職の区別は重要です。第2条は、国家公務員の職を一般職と特別職に分けています。 国家公務員法の規定は、原則として一般職に属するすべての職に適用されます。一方、特別職に属する職には、別段の定めがない限り適用されないとされています。 特別職には、内閣総理大臣、国務大臣、裁判官、国会職員、国会議員の秘書、防衛省の職員など、条文に列挙された職が含まれます。具体的な適用関係は、国家公務員法だけでなく個別法も確認する必要があります。 第2条第3項は、特別職として列挙される職を規定しています。条文ではかなり細かい区分が置かれているため、ある職が一般職か特別職かを確認するには、同条第3項の各号を照合します。 一般職の国家公務員であっても、職の種類や任命権者によって適用される人事院規則や給与表が異なります。採用試験の種類(総合職・一般職・専門職等)、俸給表の区分(行政職俸給表、専門行政職俸給表等)も、職ごとに異なります。具体的な適用関係は、所属機関の人事担当や人事院の資料で確認します。 ## 人事院と人事行政 第二章は、中央人事行政機関について定めています。人事院は、国家公務員制度における公正確保と職員の利益保護に関係する重要な機関です。 人事院は、国家公務員法に基づいて設けられた中立・第三者機関として、人事行政に関する公正の確保、国家公務員の利益の保護等に関する事務をつかさどる機関と説明されています(出典:人事院)。 国家公務員法には、人事院規則、人事行政改善の勧告、法令の制定改廃に関する意見の申出、業務の報告など、人事院の権限や役割に関する規定が置かれています。 人事院規則は、国家公務員法および関連法律の委任を受けて人事院が定める命令です。採用試験の実施、給与の細則、職員の勤務時間・休暇、研修、倫理など、実務上の詳細は多く人事院規則で定められています。e-Gov法令検索では「人事院規則」と検索すると一覧を確認できます。 また、人事院は「給与等勧告」(毎年8月頃)および「意見の申出」を行い、国家公務員の給与水準・勤務条件の変更を内閣・国会に提言する役割を担います。勧告の内容は人事院のウェブサイトで公表されます。 ## 任用・給与・人事評価 第三章は、職員に適用される基準を幅広く定めています。採用、昇任、転任、降任などの任用、人事評価、給与、研修、能率などが含まれます。 任用については、成績主義や欠格条項、採用試験、任命権者などの規定が置かれています。人事評価は、任用、給与、分限その他の人事管理の基礎として位置づけられています。 給与については、職員の給与が別に定める法律に基づいて支給されること、俸給表、初任給、昇給、手当、時間外勤務等に対する給与など、給与に関する法律に定めるべき事項が規定されています。 任用の確認ポイントとして、第33条(採用・競争試験の原則)、第36条(欠格条項)、第38条(採用方法)、第61条(臨時的任用)などが関係します。成績主義(メリット・システム)は国家公務員法の基本原則であり、任用・昇任・転任・降任のいずれも、成績に基づいて行われることが原則とされています。 人事評価(第70条の2以下)は、任用・給与・研修・分限の基礎として機能します。能力評価と業績評価の二本立てで行われ、評価結果は処遇に反映されます。人事評価の実施要領は人事院規則で定められています。 ## 分限・懲戒・服務 国家公務員法は、職員の身分保障と規律維持に関する制度も定めています。分限、懲戒、服務は、国家公務員制度の中でも実務上参照されることが多い分野です。 分限は、勤務実績や心身の故障など一定の事由により、降任、休職、免職などが問題となる制度です。懲戒は、法令違反や職務上の義務違反などに対する制裁として位置づけられています。 服務については、服務の根本基準、職務専念義務、信用失墜行為の禁止、秘密を守る義務、政治的行為の制限、私企業からの隔離などの規定が置かれています。 服務の主な確認箇所は、第96条(服務の根本基準・全体の奉仕者)、第98条(職務専念義務)、第99条(信用失墜行為の禁止)、第100条(秘密を守る義務)、第101条(職務専念義務)、第102条(政治的行為の制限)、第103条(私企業との関係)です。 分限処分の根拠は第78条(降任・免職・休職・降給)、第79条(休職の場合)、第80条(休職・免職の事由)が関係します。懲戒処分は第82条(懲戒事由)、第83条(懲戒の種類)が規定しており、戒告・減給・停職・免職の4種類が置かれています。具体的な事由の解釈は人事院規則・判例・人事院の指針等を参照します。 ## 読むときの注意点 国家公務員法は、関連する人事院規則、給与法、倫理法、退職管理に関する規定、各府省の人事運用とあわせて読まれる法律です。条文だけで制度全体を判断しないことが大切です。 特定の職員にどの規定が適用されるか、特定の行為が服務義務違反や懲戒事由に当たるかは、職の区分、根拠法令、事実関係、任命権者の判断、人事院規則などによって変わります。実務上の判断が必要な場合は、所属機関の人事担当部署、人事院、弁護士等の専門家に確認してください。 また、国家公務員倫理法(平成11年法律第129号)は、職員の職務に係る倫理の保持を目的として、利害関係者からの利益供与の禁止、贈与等の報告、公職員の株取引等の禁止などを定めています。国家公務員法と合わせて参照が必要な法律です。 民間企業への再就職(いわゆる「天下り」)に関する規制は、第106条の2以下の退職管理規定と、各省庁が設ける内部規程で確認します。再就職規制の違反には罰則が設けられています。 ## 退職管理と再就職規制 退職管理に関する規定は第106条の2から第106条の26に置かれています。再就職は、退職した職員が離職後に民間企業等に就職する場面に関係します。国家公務員法では、在職中に従事した業務と密接な関係がある企業への再就職について、一定の要件・手続・届出義務が課されています。 第106条の3(再就職情報の提供の要求等の禁止)は、現職職員が離職予定者のために民間企業等との接触を通じて再就職を支援することを禁止しています。第106条の23(再就職の届出)は、再就職した離職者が一定の場合に届出を行う義務を定めています。これらの規制は内閣人事局が所管しています。 地方公務員については、地方公務員法(昭和25年法律第261号)が対応する規律を定めています。地方公務員と国家公務員では、服務・分限・懲戒・退職管理の規定が類似しつつも異なる部分があるため、対象となる職員の区分を最初に確認します。 ## 条文の閲覧方法 国家公務員法の条文はe-Gov法令検索で確認できます。条文数が多いため、目次から章・節を確認してから目的の条を開くと効率的です。人事院規則は「人事院規則○−○」(例:人事院規則一〇−四)のように番号が付けられており、e-Gov法令検索でも検索できます。 関連する主な法令として、一般職の職員の給与に関する法律(昭和25年法律第95号)、一般職の国家公務員の勤務時間、休暇等に関する法律(平成6年法律第33号)、国家公務員退職手当法(昭和28年法律第182号)、国家公務員倫理法(平成11年法律第129号)が挙げられます。いずれもe-Gov法令検索で確認できます。 内閣人事局は、国家公務員制度の概要・改正内容・採用情報をウェブサイトで公開しています。人事院は、人事院規則・給与勧告・採用試験情報・職員のメンタルヘルス等の資料を公表しています。 国家公務員法の条文は条番号が飛んでいる部分(いわゆる欠番)があることがあります。これは過去の改正で削除された条文の番号が残っているためで、法令テキスト上で「削除」と表示されます。条文数を数えるときに注意が必要です。また、令和5年改正の定年引上げは段階的施行で実施されており、各段階の適用時期は附則で確認する必要があります。施行スケジュールは内閣人事局の資料にまとめられています。 ## 参考リンク この記事は、以下の公式資料等を参照して作成しています。 - [法令全集:国家公務員法](/view/322AC0000000120) - [e-Gov法令検索:国家公務員法](https://laws.e-gov.go.jp/law/322AC0000000120) - [内閣人事局:国家公務員制度の概要](https://www.cas.go.jp/jp/gaiyou/jimu/jinjikyoku/jinji_gaiyou.html) - [人事院:人事院を知る](https://www.jinji.go.jp/syoukai/jinjika-saiyo/about.html) - [人事院:国家公務員関係法令等一覧](https://www.jinji.go.jp/seisaku/kisoku/ichiran.html) - [e-Gov法令検索:一般職の職員の給与に関する法律](https://laws.e-gov.go.jp/law/325AC0000000095) - [内閣人事局:退職管理](https://www.cas.go.jp/jp/gaiyou/jimu/jinjikyoku/reemployment.html) 国家公務員法および関連法令は改正が重なっているため、この記事の内容よりも上記の公式資料の最新版を優先して確認してください。個別の任用・服務・懲戒・退職管理の判断については、人事担当部署・人事院・弁護士にご相談ください。