--- title: "経済産業省組織令とは:内部部局と所掌事務" description: "経済産業省組織令が定める本省の六局と官房、通商政策と貿易管理の分担、技術・産業分野の所掌を解説。地方経済産業局と三つの外局も取り上げ、政策の担当部署を条文から確認する方法を整理します。" date: 2026-09-15 category: 法令解説 tags: [行政組織, 経済産業省] related_laws: [412CO0000000254] draft: false --- 経済産業省組織令(平成12年政令第254号、法令ID:`412CO0000000254`)は、経済産業省の内部部局、地方支分部局、外局などの組織と所掌事務を定める政令です。産業政策について資料を調べる企業担当者や、行政の役割分担を学ぶ人が、どの部署が何を担当するかを確かめる際に参照します。この記事では、六つの局の分担と地方・外局との関係を扱い、個別の補助制度の申請条件や輸出許可の可否は扱いません。条文は[法令ビューアー](/view/412CO0000000254)と[e-Gov法令検索](https://laws.e-gov.go.jp/law/412CO0000000254)で参照できます。 以下は2026年9月15日時点を基準とし、2026年8月5日施行の条文を確認した説明です。組織の名称は改正によって変わるため、資料の発行時期と条文の施行日を対応させて読むことが重要です。 ## 官房と六局を起点に担当事務をたどる 第2条は、本省に大臣官房と六局を置くことを定めています。六局は、経済産業政策局、通商政策局、貿易経済安全保障局、イノベーション・環境局、製造産業局、商務情報政策局です。また、通商政策局の中に国際経済部、貿易経済安全保障局の中に貿易管理部を置きます。局の名称だけでなく、その内部に設けられる部まで読むことで、国際経済や貿易管理がどの組織の下にあるかが分かります。 大臣官房の役割は、人事や予算などの共通事務に限られません。第3条は、省全体の政策の調整、統計に関する事務に加え、産業保安、製品安全、化学物質などに関する事務も列挙しています。「官房だから内部管理だけ」と考えると、対外的な行政分野の担当を見落とします。組織令では、部署名から連想される仕事より、各号に書かれた対象と条件が所掌範囲を決める手がかりになります。 経済産業政策局の第4条は、経済構造改革、産業組織、産業に共通する政策などを扱います。一方で、他局の所掌に属する事項を除く規定もあります。同じ「産業政策」という表現を含む資料でも、産業横断の制度なのか、特定業種の振興なのかによって担当を追う経路が変わる構成です。まず局単位の所掌を読み、必要に応じて課の所掌へ進むと、部署の一覧と具体的な担当事務を結び付けられます。根拠は[第2条から第4条](https://laws.e-gov.go.jp/law/412CO0000000254#Mp-At_2)です。 ## 通商政策と貿易経済安全保障の分担 通商政策局の第5条には、通商政策、通商に関する協定、関税、国際協力などが規定されています。海外との経済関係を制度や政策の面から扱う部署として位置付けられ、国際経済部の所掌も同条で分けて示されています。通商協定についての説明資料を読む場合には、協定そのものの規律と、その政策を担当する行政組織の規律を区別する必要があります。組織令は後者を明らかにするものです。 これに対し、第6条の貿易経済安全保障局は、経済安全保障に関する政策の調整や、貿易・外国為替などに関する事務を担います。同局の貿易管理部には、輸出入の管理、外国為替、対内直接投資等の規制に関する事務が置かれています。海外取引に関係する仕事がすべて通商政策局に集まっているわけではなく、取引の管理という側面が別に組織化されています。 この違いは、企業が行政資料の所管表示を読む際にも意味を持ちます。国際的なルールの形成や経済協力を扱う資料と、輸出入管理や投資規制の制度運用を扱う資料では、同じ国や商品が登場しても担当の観点が異なります。ただし、組織令の所掌規定だけから、ある取引に許可が必要かどうかを判断することはできません。規制の要件は、その事務の根拠となる法律や命令に置かれています。組織令を使って担当の位置を確かめた後、対象制度の条文へ進む関係です。根拠は[第5条・第6条](https://laws.e-gov.go.jp/law/412CO0000000254#Mp-At_5)です。 ## 技術・環境と製造・情報産業の境界 第7条のイノベーション・環境局は、技術革新、研究開発、標準や認証、計量、資源の有効利用、環境に関する事務などを担当します。技術を開発することと、その技術を社会や産業で共通して使うための基準を整えることが、同じ局の所掌に含まれています。特定の製品名を起点に見るだけでは捉えにくい、産業に共通する技術的・制度的な基盤を扱う部分です。 第8条の製造産業局は、鉱物、鉄鋼、化学、機械などに関する事務を対象としますが、他の省や局に属する事項を除外する文言が付いています。第9条の商務情報政策局にも、情報処理や情報通信機器、電子機器などに関する所掌が置かれています。このため、物を製造する事業だから必ず製造産業局、サービスだから必ず商務情報政策局という単純な二分ではありません。 実際に担当範囲を調べる際は、対象物や事業の名前が挙がっている号を見つけたうえで、括弧書きの除外先を確認する順序になります。ある局の条文に対象分野が登場しても、「他局の所掌に属するものを除く」とされていれば、その例外を含めて読む必要があります。局名の変更だけでなく、所掌事項の移動によって分担が変わることも、条文の比較から把握できます。 技術政策、環境政策、個別産業政策が交わる分野では、一つの製品や事業に関する行政資料が複数の局から出る構造を、この分担が説明します。組織令は製品の技術要件を直接示す資料ではなく、それぞれの政策課題を誰が扱うかを確認するための資料です。根拠は[第7条から第9条](https://laws.e-gov.go.jp/law/412CO0000000254#Mp-At_7)です。 ## 地方経済産業局と三つの外局 第102条は、地方の経済産業局の名称、位置、管轄区域を表で定めます。たとえば関東経済産業局はさいたま市に置かれ、その管轄には関東地方の都県だけでなく、新潟県、山梨県、長野県、静岡県も含まれます。行政組織の「関東」が日常的な地域区分と一致するとは限らないことを示す規定です。さらに同条には事務別の管轄の特例があり、所在地だけで担当を決めず、対象事務についての例外も確認する仕組みです。 第103条は局の内部組織を定め、総務企画部、地域経済部、産業部、資源エネルギー環境部などの分担の土台を置きます。近畿経済産業局と九州経済産業局については国際部も規定されています。本省の局名と地方局の部名は一対一で同じではなく、地方における事務処理に合わせた編成になっています。 第2章は、資源エネルギー庁、特許庁、中小企業庁という三つの外局を扱います。資源エネルギー庁には省エネルギー・新エネルギー部、資源・燃料部、電力・ガス事業部に関する規定があり、特許庁では審査や審判に関する部、中小企業庁では事業環境部と経営支援部などが規定されています。本省の六局だけを調べて省全体の担当事務を把握したことにはならず、外局の条文まで視野に入れる必要があります。 このほか第97条以下には審議会、第101条には経済産業研修所が置かれています。審議・調査を担う組織、職員研修を担う機関、地域の事務を担う局、特定政策分野を担う外局は、それぞれ役割が異なります。根拠は[第97条以降](https://laws.e-gov.go.jp/law/412CO0000000254#Mp-At_97)です。 第97条の審議会一覧は、「法律の規定により置かれる審議会等のほか」として設けられている点にも注意が必要です。この一覧だけを省のすべての審議会と読むことはできません。第98条から第100条は、それぞれの審議会が根拠法令に基づく事項を処理することと、必要な事項を別の審議会令で定めることを示しています。組織の設置、担当事項、構成・運営の細目が、複数の法令に分かれている例です。 ## 参考リンク 部署名や担当事務を引用する場合は、対象時点の施行版を選んで確認できます。 - [e-Gov法令検索:経済産業省組織令](https://laws.e-gov.go.jp/law/412CO0000000254) - [2026年8月5日施行の条文](https://laws.e-gov.go.jp/law/412CO0000000254/20260805_508CO0000000247)