--- title: "介護保険法とは:認定・給付・事業者の制度" description: "介護保険法の被保険者、要介護・要支援認定、サービス給付を解説。利用を考える人や事業者に向け、認定とケアプランの違い、事業所の指定、地域支援事業、介護保険事業計画と保険料の関係を整理します。" date: 2026-09-15 category: 法令解説 tags: [介護保険, 社会保障] related_laws: [409AC0000000123] draft: false --- 介護保険法(平成9年法律第123号、法令ID:`409AC0000000123`)は、要介護・要支援状態に関する保険給付、認定、サービス事業者の指定、保険財政を定める法律です。サービス利用を考える人、家族、介護事業者、自治体職員が制度の流れを確認する際に参照します。この記事は認定から給付・事業者制度までの枠組みを扱い、個人の認定区分、自己負担額、サービス選定の判断は扱いません。条文は[法令全集](/view/409AC0000000123)と[e-Gov法令検索](https://laws.e-gov.go.jp/law/409AC0000000123)で確認できます。 2026年9月15日時点の2026年9月3日施行版を参照しています。 ## 市町村が保険者となる二つの被保険者区分 第3条は市町村・特別区を介護保険の保険者とし、特別会計を設けることを定めています。国や都道府県も制度を支えますが、被保険者の認定や地域での事業計画を担う基本単位は市町村です。医療機関や介護施設が認定主体になるわけではありません。 第9条は、区域内に住所がある65歳以上の人を第1号被保険者、40歳以上65歳未満の医療保険加入者を第2号被保険者とします。年齢に加えて医療保険加入という条件があるため、両区分を単に年齢だけの違いとして説明するのは不十分です。第13条には一定の施設入所等に関する住所地特例もあり、住所移動と保険者変更が常に同じ形で進むとは限りません。 第2条は、保険給付を要介護状態等の軽減・悪化防止に資するよう行い、医療との連携や本人の選択に配慮することを定めます。また、可能な限り居宅で能力に応じた自立した日常生活を営めるよう配慮する構成です。単に介護費用を支払う仕組みではなく、利用者の状態と生活環境を踏まえてサービスを結びつける制度として設計されています。[根拠:第2条・第3条・第9条・第13条](https://laws.e-gov.go.jp/law/409AC0000000123#Mp-At_2) ## 認定調査と審査を経て要介護・要支援を認定する 第19条は、介護給付には要介護認定、予防給付には要支援認定を受けることを定めています。介護サービスが必要だと本人や家族が感じることと、保険給付上の認定は区別されます。認定は心身の状態について保険制度上の区分を定める手続です。 第27条は要介護認定の申請、面接による心身の状況・環境等の調査、主治医の意見、介護認定審査会での審査判定、市町村による認定という流れを規定します。主治医の診断だけで認定区分を決める制度ではなく、調査結果等を合わせて審査する構成です。第32条の要支援認定も、調査や医師の意見などを組み合わせます。 認定後には第28条・第33条の更新、第29条・第33条の2の状態区分変更の認定があります。最初の区分が将来にわたって固定されるものではなく、状態の変化と期間に応じた手続が置かれています。 一方、サービス計画に関する費用は第46条等に別に規定されます。要介護度を認定することと、どのサービスをどのように組み合わせるかを計画することは別の段階です。認定結果、サービスの利用計画、個々のサービス提供を順に整理すると、相談・調整と行政による認定の役割が明確になります。[根拠:第19条、第27条〜第33条の2、第46条](https://laws.e-gov.go.jp/law/409AC0000000123#Mp-At_27) ## 居宅・施設・予防の給付を分けて読む 第18条は介護給付、予防給付、市町村特別給付を区分します。介護給付の種類は第40条、予防給付の種類は第52条に整理されており、サービスの名称と給付の種類を対応させる構成です。施設への入所だけが介護保険の対象ではありません。 第41条の居宅介護サービス費、第42条の2の地域密着型介護サービス費、第48条の施設介護サービス費は、それぞれ対象となるサービスと事業者等を定めます。第44条・第45条には福祉用具購入・住宅改修の給付、第46条には居宅介護サービス計画費が置かれています。利用の場面により、同じ費用の支払でも根拠条文が異なります。 第43条は居宅サービス等の支給限度額、第49条の2は一定以上の所得がある人に関する給付額、第51条等は高額介護サービス費などを扱います。サービス費用の全額が一律に保険から支給される仕組みではなく、給付対象費用、限度額、所得等に応じた規定が重なります。第41条も食事や日常生活に関する一定の費用を支給対象から除く構成です。 こうした法律上の給付枠組みと、報酬の単位数や具体的な基準は区別されます。個別の金額を求める際には、法律だけでなく政省令・告示などに定められる対象や算定条件を確認する必要があります。[根拠:第18条、第40条〜第52条](https://laws.e-gov.go.jp/law/409AC0000000123#Mp-At_40) ## 事業所の指定と介護支援専門員の制度 利用者の認定とは別に、サービスを提供する側にも制度があります。第70条は指定居宅サービス事業者について、サービスの種類と事業所ごとの指定を定めます。従業者の人員・技能、設備、運営基準などの確認があり、法人を設立することだけで保険給付に対応する指定が得られるわけではありません。 第78条の2は地域密着型サービス、第79条は居宅介護支援の事業者指定を扱います。条文上の指定主体や基準を定める条例が異なるため、すべての申請先を一律に都道府県とすることはできません。介護老人保健施設や介護医療院には、指定とは別に開設許可を扱う規定もあります。 第69条の2以下は介護支援専門員の登録や介護支援専門員証、義務を定めています。専門職個人の登録と、所属する事業所の指定は別制度です。人員基準の充足を調べる際にも、この二つを分けて把握する必要があります。 また、第115条の32は業務管理体制、第115条の35は介護サービス情報の報告・公表を規定します。指定の取得だけでなく、その後の運営、情報の開示、監督までが法律の対象です。利用者が選択するための情報と、事業者が継続して基準を守る仕組みの双方が組み込まれています。[根拠:第69条の2、第70条、第78条の2、第79条、第115条の32・第115条の35](https://laws.e-gov.go.jp/law/409AC0000000123#Mp-At_70) ## 地域支援事業と3年ごとの事業計画 第115条の45は、要介護状態等になることの予防や地域での自立した生活を支える地域支援事業を定めています。介護予防・日常生活支援総合事業などがここに置かれており、個々の被保険者に対する保険給付とは別の制度として読み分けます。 第115条の46の地域包括支援センターは、地域住民の健康保持や生活安定に必要な援助を通じ、保健医療・福祉を包括的に支える施設です。サービスの利用だけでなく、地域における支援体制を整えることが法律の対象になっています。 第117条は市町村の介護保険事業計画を3年一期で定め、サービスや地域支援事業の量の見込み等を計画事項とします。第129条では、第1号被保険者の保険料率を、給付等の見込みや所得分布等に照らして、おおむね3年を通じた財政の均衡を保てるものとする構成です。 したがって、保険料、サービス供給、地域支援は互いに切り離された制度ではありません。個人の利用を支える認定・給付の仕組みの背後に、市町村が需要と財政を見通す計画があります。全国共通の法律に加え、地域の事業計画や条例を見る意味がここにあります。[根拠:第115条の45・第115条の46、第117条、第129条](https://laws.e-gov.go.jp/law/409AC0000000123#Mp-At_117) 第117条の計画では、日常生活を営む地域の地理的条件、人口、交通事情、施設の整備状況等を踏まえた区域ごとに、サービスの種類別の量を見込みます。認定された個人の給付と、地域全体で必要なサービスを確保する計画は、このように異なる単位で制度化されています。 ## 参考リンク 認定・給付・事業者制度は、次の公式条文によります。 - [e-Gov法令検索:介護保険法](https://laws.e-gov.go.jp/law/409AC0000000123) - [参照した2026年9月3日施行版](https://laws.e-gov.go.jp/law/409AC0000000123/20260903_508AC0000000027)