--- title: "乳児等通園支援事業基準とは:設備運営の基本枠組み" description: "乳児等通園支援事業の設備及び運営に関する基準(令和7年内閣府令第1号)の基本情報と条文構成を解説します。安全計画、職員、設備、食事、運営規程の概要を紹介します。" date: 2026-05-21 category: 法令解説 tags: [乳児等通園支援, 保育] related_laws: [507M60000002001] draft: false --- 乳児等通園支援事業の設備及び運営に関する基準(法令ID:`507M60000002001`)は、児童福祉法に基づき、乳児等通園支援事業の設備と運営に関する基準を定める内閣府令です。条文全文は[法令全集の乳児等通園支援事業基準ページ](/view/507M60000002001)またはe-Gov法令検索([https://laws.e-gov.go.jp/](https://laws.e-gov.go.jp/))で無料で閲覧できます。 この基準は、「こども誰でも通園制度」の本格実施に向けて令和7年(2025年)に整備された府令であり、乳児等通園支援事業を行う事業所が満たすべき設備と運営の最低基準を定めています。市町村が条例を整備する際の基礎となる国の基準として位置づけられており、事業者・設置者・自治体担当者がともに参照する法令です。 この記事では、乳児等通園支援事業基準の基本情報、法体系における位置づけ、条文構成、各規定の確認ポイントを整理します。個別施設の設備適合性や自治体条例の内容を判断するものではありません。 ## 基本情報 この基準は、令和7年(2025年)内閣府令第1号として定められています。こども家庭庁の資料では、こども誰でも通園制度に関する資料の中で、この基準や関連する通知が案内されています。 | 項目 | 内容 | |---|---| | 正式名称 | 乳児等通園支援事業の設備及び運営に関する基準 | | 法令番号 | 令和七年内閣府令第一号 | | 法令ID | 507M60000002001 | | 制定年 | 2025年 | | 根拠法 | 児童福祉法 | | 主な分野 | 乳児等通園支援事業、設備、職員、安全、運営 | 第1条は、児童福祉法第34条の16第2項の内閣府令で定める基準について、従うべき基準と参酌すべき基準を区分して定めています。 ## 児童福祉法・府令・市町村条例の関係 乳児等通園支援事業に関する制度は、複数の法令が組み合わさって構成されています。この基準の位置づけを理解するには、制度全体の法体系を確認することが助けになります。 児童福祉法は、乳児等通園支援事業の根拠法であり、事業の定義、市町村の責務、設備・運営の基準を定める府令への委任などを規定しています。乳児等通園支援事業の設備及び運営に関する基準(本基準)は、児童福祉法の委任に基づいて、事業所が守るべき設備・職員・運営の最低基準を定めています。市町村は、本基準を参照しながら条例を整備し、地域の実情に応じた基準を定める仕組みになっています。 | 法令の種類 | 主な役割 | |---|---| | 児童福祉法(法律) | 事業の根拠、市町村の責務、委任規定 | | 乳児等通園支援事業基準(府令) | 設備・職員・運営の国の最低基準 | | 市町村条例 | 地域の実情に応じた基準(国基準を踏まえて制定) | | こども家庭庁の通知・手引き | 運用上の解釈・具体的な取り扱い | 市町村の条例は国の基準を踏まえて整備されますが、自治体によって内容が異なる場合があります。実際の開設・運営では、国の基準だけでなく、当該市町村の条例と通知をあわせて確認する必要があります。 ## 共通基準と事業類型を分ける この基準は、総則と乳児等通園支援事業に関する章で構成されています。職員、設備、安全、衛生、食事、運営規程、秘密保持、苦情対応など、事業運営に関係する項目が置かれています。 | 区分 | 主な内容 | |---|---| | 第一章 総則 | 趣旨、最低基準の目的、一般原則、非常災害、安全計画、自動車運行時の所在確認 | | 第二章 乳児等通園支援事業 | 職員、設備、食事、運営規程、帳簿、秘密保持、苦情対応、一般型・余裕活用型の基準 | | 附則 | 施行期日、経過措置等 | 条文を読むときは、まず第一章で共通する基準を確認し、そのうえで第二章の事業類型ごとの規定を見ると整理しやすくなります。 ## 市町村条例との関係 第1条は、市町村が条例を定める際の基準について、従うべき基準と参酌すべき基準を区分しています。これは、児童福祉法上の委任に基づく規定です。 従うべき基準は、市町村が条例を定める際に基準どおりに定める必要がある部分です。参酌すべき基準は、国の基準を十分参照しながら、地域の実情に応じた条例化が予定される部分です。 どの項目が従うべき基準に当たり、どの項目が参酌すべき基準に当たるかは、条文の構造や関連する説明資料で確認します。たとえば、職員の資格や安全に関する基本的な事項は従うべき基準として定められている場合があり、施設の規模や配置に関する細目は参酌すべき基準とされている場合があります。 個別自治体の条例内容は自治体ごとに異なる場合があります。実際の開設・運営では、国の基準だけでなく、市町村条例、通知、自治体の手引きも確認する必要があります。 ## 安全計画と所在確認 第一章では、安全確保に関する規定が置かれています。乳幼児を対象とする事業であるため、日常の安全管理、訓練、移動時の確認が重要な項目です。 第7条は、乳児等通園支援事業者が事業所ごとに安全計画を策定し、必要な措置を講じることを定めています。安全計画には、設備の安全点検、職員や利用乳幼児等への安全に関する指導、職員の研修・訓練などが含まれます。 第8条は、利用乳幼児の移動のために自動車を運行するときの所在確認について定めています。送迎目的で一定の自動車を日常的に運行する場合には、車内の見落としを防止する装置に関する規定も置かれています。 安全計画の策定と訓練の実施は、事業者の義務として定められており、形式的な策定にとどまらず、実際の事業所の状況に応じた内容であることが求められます。安全計画に関する文書の保存や職員への周知も、運営上の確認事項になります。 ## 職員・設備・運営規程 第二章では、実際の事業所運営に関する規定がまとめられています。職員体制、設備、食事提供、運営規程、帳簿、秘密保持、苦情対応などが対象です。 第9条は職員の一般的要件を定めています。第11条以下では、職員に関する基準や設備に関する規定が置かれています。職員の配置基準は利用定員や事業類型によって異なるため、具体的な基準は条文と市町村条例を確認する必要があります。 第15条は、食事の提供を行う場合に、調理のための加熱、保存等の調理機能を有する設備を備えることを定めています。食事の提供方法(自園調理か外部委託か)によって確認すべき規定が変わる場合もあります。 第16条は、運営についての重要事項に関する規程を定めておくことを求めています。規程には、事業の目的・運営方針、支援内容、職員の職種・員数・職務内容、提供日・時間、費用、利用定員、緊急時対応、非常災害対策、虐待防止措置などが含まれます。運営規程の記載内容は利用者や保護者への情報提供の基礎となるため、実際の運営と整合する内容に保つことが重要です。 ## 帳簿・秘密保持・苦情対応 事業所の運営において、記録の保存、秘密の保持、苦情への対応は、法令上の義務として定められています。乳児等通園支援事業基準にも、これらに関する規定が置かれています。 帳簿の備付けに関する規定では、事業に関する記録を整備し、一定期間保存することが求められます。利用乳幼児の状況、職員の勤務実績、安全点検の記録などが対象になりますが、具体的な帳簿の種類や保存期間は条文や通知を確認してください。 秘密保持については、職員が業務上知り得た利用乳幼児や家族の個人情報を正当な理由なく漏らすことを禁止する規定が置かれています。退職後も適用される場合があるため、職員への周知も重要です。 苦情対応については、利用者・保護者からの苦情を受け付ける体制の整備と、苦情への対応に関する規定が置かれています。苦情対応の記録や改善への取り組みも、運営上の確認事項となります。 ## 一般型と余裕活用型 乳児等通園支援事業には、一般型と余裕活用型に関する規定があります。事業類型によって、設備や職員配置などの見方が異なります。 一般型乳児等通園支援事業は、乳児等通園支援事業として専ら利用乳幼児への支援を提供する類型として整理されています。設備や職員配置の基準は、利用定員に応じて確認します。 余裕活用型乳児等通園支援事業は、保育所や認定こども園等の既存施設の利用定員に空きがある場合などに関係する類型として条文上位置づけられています。既存施設の設備・職員を活用しながら事業を実施する場合の要件が整理されています。 類型ごとの具体的な基準や経過措置は、条文、通知、自治体資料をあわせて確認する必要があります。令和7年度の本格実施に向けた経過措置や、類型の移行に関する取り扱いについても、こども家庭庁の通知で案内されています。 ## 開設・運営資料と自治体基準を照合する 乳児等通園支援事業基準を確認するときは、読者の立場を先に分けます。事業者であれば、職員配置、設備、食事提供、安全計画、所在確認、運営規程、帳簿、秘密保持、苦情対応を確認します。市町村であれば、児童福祉法上の委任に基づき、どの項目が従うべき基準で、どの項目が参酌すべき基準かを整理し、条例化の範囲を確認します。保護者や利用者の立場では、事業類型、提供日・時間、利用定員、安全対応、苦情窓口などが確認事項になります。 開設・運営の実務では、国の府令だけでなく、市町村条例、自治体の手引き、こども家庭庁の通知、既存施設の運営規程、職員の勤務体制表、施設平面図、安全計画、送迎時の所在確認手順を照合します。一般型と余裕活用型では、既存施設の設備や職員をどのように活用するかが異なるため、条文上の基準と自治体資料を合わせて確認する必要があります。令和7年度の制度整備に伴う経過措置や運用資料の更新にも注意します。 事業所の開設可否、職員配置、設備の適合性、自治体条例との関係については、個別の施設状況や自治体の運用によって判断が分かれる場合があります。この記事は制度と条文の読み方を整理するものであり、個別施設の設備適合性や自治体条例の内容を判断するものではありません。実務上の判断が必要な場合は、自治体の担当部署、こども家庭庁の通知、弁護士等の専門家による確認が必要です。 ## 参考リンク この記事は、以下の公式資料等を参照して作成しています。 - [法令全集:乳児等通園支援事業の設備及び運営に関する基準](/view/507M60000002001) - [e-Gov法令検索:乳児等通園支援事業の設備及び運営に関する基準](https://laws.e-gov.go.jp/law/507M60000002001) - [こども家庭庁:こども誰でも通園制度について](https://www.cfa.go.jp/policies/hoiku/daredemo-tsuen/) - [e-Govパブリック・コメント:基準案に関する意見募集の結果](https://public-comment.e-gov.go.jp/pcm/1040?CLASSNAME=PCM1040&Mode=1&id=141000107)