--- title: "建設業法施行令とは:許可・契約・技術者の基準" description: "建設業法施行令について、軽微な建設工事、見積期間、一括下請負、主任技術者・監理技術者、技術検定、経営事項審査の確認順序と公式資料の参照先、建設業法本体との関係を整理します。" date: 2026-05-24 category: 法令解説 tags: [建設業法, 施工管理] related_laws: [331CO0000000273, 324AC0000000100] draft: false --- 建設業法施行令(法令ID:`331CO0000000273`)は、建設業法の規定を実施するため、許可を要しない軽微な建設工事、請負契約の見積期間、一括下請負の対象工事、主任技術者・監理技術者の専任基準、技術検定などを具体化する政令です。条文全文は[法令全集の建設業法施行令ページ](/view/331CO0000000273)またはe-Gov法令検索([https://laws.e-gov.go.jp/law/331CO0000000273](https://laws.e-gov.go.jp/law/331CO0000000273))で確認できます。 建設業者、発注者、元請・下請の契約担当者、現場配置技術者、施工管理技士試験を調べる人が、建設業法本体の委任先として参照する場面が多い法令です。この記事では、施行令が定める主な数値基準と確認順序を扱い、個別工事の許可要否、契約条項、技術者配置、行政処分の適否は判断しません。 ## 基本情報 建設業法施行令は、昭和31年(1956年)政令第273号として制定された政令です。建設業法は、建設業を営む者の資質向上、建設工事の請負契約の適正化、発注者保護、建設業の健全な発達を目的とする法律です。施行令は、その中でも金額、期間、施設の範囲、技術者制度、手数料、紛争処理手続など、法律本文だけでは完結しない部分を補います。 | 項目 | 内容 | |---|---| | 正式名称 | 建設業法施行令 | | 法令番号 | 昭和三十一年政令第二百七十三号 | | 法令ID | 331CO0000000273 | | 制定年 | 1956年 | | 主な分野 | 建設業許可、請負契約、見積期間、一括下請負、配置技術者、技術検定 | 施行令の特徴は、建設業法上の大きな制度を動かすための「しきい値」を多く置いている点です。たとえば、軽微な建設工事に当たる金額、見積期間を決める予定価格の区分、専任の主任技術者・監理技術者を必要とする請負代金額、技術検定の種目や級などが政令で定められています。実務では、建設業法本体、建設業法施行令、建設業法施行規則、国土交通省のガイドラインや通知を組み合わせて確認します。 ## 許可不要となる軽微な建設工事 建設業法第3条第1項は、建設業を営もうとする者に許可を求めていますが、ただし書で軽微な建設工事のみを請け負う場合を除いています。この「軽微な建設工事」の範囲を定めるのが、建設業法施行令第1条の2です。施行令上、建築一式工事以外では、工事一件の請負代金の額が500万円に満たない工事が基準になります。建築一式工事では、請負代金の額が1500万円に満たない工事、または延べ面積150平方メートルに満たない木造住宅を建設する工事が基準として置かれています。 この基準を確認するときは、工事名だけでなく、建築一式工事かそれ以外か、請負代金の額に材料費などがどう含まれるか、契約を分割していないか、同一の建設業を営む者が二以上の契約で同じ工事を請け負っていないかを整理します。施行令第1条は、建設業法第3条第1項の「支店に準ずる営業所」を、常時建設工事の請負契約を締結する事務所としています。営業所の有無や許可行政庁の確認では、この定義も関係します。 軽微な建設工事に当たるかどうかは、建設業許可の入口に関係しますが、許可が不要であることと、契約・安全・労務・建築関係法令の確認が不要であることは同じではありません。工事の内容によっては、建築基準法、労働安全衛生法、電気工事士法、廃棄物処理法、自治体条例などが別に関係します。許可要否を検討する資料では、契約書、見積書、工事内訳、施工場所、発注者、工事種別を並べ、建設業法施行令の金額基準と照合します。 ## 見積期間と契約手続 建設業法施行令は、建設工事の請負契約を締結する前の見積期間についても基準を置いています。第5条の9は、建設業法第20条第3項に基づく見積期間を、工事一件の予定価格に応じて定めています。予定価格が500万円に満たない工事では1日以上、500万円以上5000万円に満たない工事では10日以上、5000万円以上の工事では15日以上とされています。ただし、やむを得ない事情があるときは、10日以上または15日以上の区分について5日以内に限り短縮できる仕組みです。 見積期間の確認では、発注者が見積条件をいつ示したか、受注予定者が見積りに必要な図面・仕様書・現場条件を受け取ったか、予定価格の区分がどれに当たるかを整理します。単に見積書の提出期限だけを見るのではなく、施工条件、資材価格、労務費、工期、設計変更の可能性を踏まえて、実質的に見積りを行える期間が確保されているかを確認することが重要です。国が入札の方法により競争に付する場合は、予算決算及び会計令の期間が見積期間とみなされる規定も置かれています。 施行令には、情報通信技術を利用する方法による契約関係の手続、現場代理人の選任等に関する通知、建設工事の見積りに関する承諾手続なども置かれています。電子契約や電子通知を使う場合は、建設業法施行令だけでなく、建設業法施行規則、契約書式、発注者の電子契約システムの利用条件を確認します。国土交通省の建設業法令遵守ガイドラインは、発注者・受注者間の契約実務を確認する際の公式資料として参照できます。 ## 一括下請負と下請契約 建設業法は、一括下請負を原則として禁止する仕組みを置いています。建設業法施行令第6条の4は、一括下請負禁止の対象となる多数の者が利用する施設または工作物に関する重要な建設工事を定めています。公共性のある施設や、多数の人が利用する建築物・工作物では、元請が工事全体を実質的に他者へ丸投げすることが問題になりやすいため、法律と施行令の両方を確認します。 一括下請負の確認では、契約書上の下請構造だけでなく、元請が施工計画、工程管理、品質管理、安全管理、下請業者への指導監督を実際に行っているかが重要になります。元請が形式上だけ関与している場合、契約名や書面の形式だけでは整理できません。工事の全体像、施工体制台帳、施工体系図、現場代理人や主任技術者・監理技術者の配置、下請契約の範囲を確認します。 施行令は、下請負人の選定の承諾に係る情報通信技術の利用方法や、特定の金額基準なども定めています。公共工事では、公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律、発注者の契約約款、施工体制台帳の提出、監督・検査の運用も関係します。民間工事でも、発注者の承諾、契約条件、施工管理体制、下請代金の支払、建設業法令遵守ガイドラインを合わせて確認します。 ## 主任技術者・監理技術者の配置 建設業法施行令第27条は、専任の主任技術者または監理技術者を必要とする重要な建設工事を定めています。工事一件の請負代金の額が4500万円以上、建築一式工事では9000万円以上のものが基準になり、国または地方公共団体が注文者である施設や工作物に関する工事、学校、病院、社会福祉施設、事務所、ホテル、共同住宅、工場など、多数の者が利用する施設や工作物に関する工事が対象として列挙されています。 専任要件を確認するときは、請負代金額、工事種別、発注者、施設の用途、現場の場所、工事間の密接性を分けて整理します。施行令第27条第2項は、密接な関係のある二以上の建設工事を同一の建設業者が同一の場所または近接した場所で施工する場合に、同一の専任の主任技術者がこれらの工事を管理できる規定を置いています。施行令第30条は、同一の主任技術者または監理技術者を置くことができる工事現場の数を二としています。 監理技術者の職務を補佐する者、特定専門工事、営業所技術者等が現場技術者の職務を兼ねることができる場合など、近年の技術者制度の見直しに関係する規定も施行令に含まれています。第28条や第33条では、一定の兼務や特例に関係する金額として、1億円、建築一式工事では2億円という基準が置かれています。これらは建設業法本体、建設業法施行規則、国土交通省の技術者制度に関する資料と合わせて確認します。 ## 技術検定と施工管理技士 建設業法施行令第37条以下は、技術検定に関する規定を置いています。技術検定は、建設機械施工管理、土木施工管理、建築施工管理、電気工事施工管理、管工事施工管理、電気通信工事施工管理、造園施工管理などの検定種目に分かれます。施行令は、検定種目、検定技術、一級・二級の区分、第一次検定・第二次検定、称号、合格取消し、受検手数料などを定めています。 一級の技術検定は、監理技術者として必要な知識や能力を有するかを判定するために行われ、二級の技術検定は、主任技術者として必要な知識や能力を有するかを判定するために行われます。検定の科目、基準、受検資格は、施行令の委任を受けて国土交通省令で定められます。そのため、受検を検討する場合は、建設業法施行令だけでなく、建設業法施行規則、試験実施機関の受検案内、国土交通省の技術検定制度の案内を確認します。 技術検定は、建設業許可、営業所技術者等、主任技術者、監理技術者、経営事項審査の技術職員評価など、複数の制度と結びつきます。合格証明書の交付・再交付、称号の扱い、旧制度から新制度への経過措置が問題になる場合もあります。特に改正前後の試験合格者や、第一次検定・第二次検定の扱いを調べるときは、施行令の附則や国土交通省の最新資料を確認します。 ## 経営事項審査と手数料 建設業法施行令は、経営規模等評価や経営状況分析に関する手数料も定めています。公共工事を直接請け負おうとする建設業者は、建設業法上の経営事項審査が関係します。施行令第46条は、国土交通大臣が行う経営規模等評価等手数料について、経営規模等評価の申請に係る額を定めています。第47条は、国土交通大臣が行う経営状況分析手数料を定めています。 経営事項審査では、経営規模、経営状況、技術力、社会性などの指標が関係します。施行令は手数料などの政令事項を定める位置づけであり、評点の算出方法や提出書類の細部は建設業法施行規則、国土交通省告示、許可行政庁の案内資料で確認します。公共工事の入札参加資格申請では、経営事項審査の結果通知書と、各発注機関の資格審査が別に関係するため、制度を混同しないように整理します。 建設業法施行令には、建設工事紛争審査会の手続や申請手数料、中央建設業審議会の運営、国土交通大臣から地方整備局長などへの権限委任も置かれています。許可、契約、技術者、経営事項審査のどの場面で施行令を参照しているのかを明確にすると、必要な省令・告示・行政資料へたどりやすくなります。 ## 参考リンク この記事では、以下の公式資料等を参照しました。 - [法令全集:建設業法施行令](/view/331CO0000000273) - [e-Gov法令検索:建設業法施行令](https://laws.e-gov.go.jp/law/331CO0000000273) - [e-Gov法令検索:建設業法](https://laws.e-gov.go.jp/law/324AC0000000100) - [国土交通省:建設業法令遵守ガイドライン](https://www.mlit.go.jp/totikensangyo/const/1_6_bt_000188.html) - [国土交通省:持続可能な建設業の実現のため、建設業法等改正法が完全施行されます](https://www.mlit.go.jp/report/press/tochi_fudousan_kensetsugyo13_hh_000001_00317.html) 建設業法施行令は、金額基準や技術者制度の改正が実務に直結しやすい政令です。条文を確認するときは、e-Gov法令検索で現行条文を確認し、建設業法施行規則、国土交通省のガイドライン、許可行政庁の案内資料、発注者の契約約款を合わせて参照します。