--- title: "こども性暴力防止法とは:日本版DBSの制度入口" description: "2026年12月25日施行予定のこども性暴力防止法について、学校設置者等、認定民間教育保育等事業者、犯罪事実確認、防止措置、表示制度、施行前の実務準備を整理します。" date: 2026-05-31 category: ガイド tags: [こども性暴力防止法, 日本版DBS] related_laws: [506AC0000000069] draft: false --- 学校設置者等及び民間教育保育等事業者による児童対象性暴力等の防止等のための措置に関する法律(法令ID:`506AC0000000069`)は、[法令全集の条文ページ](/view/506AC0000000069)と[e-Gov法令検索](https://laws.e-gov.go.jp/law/506AC0000000069)で確認できます。こども性暴力防止法、または日本版DBSに関する法律として説明されることが多く、学校・保育所等の設置者や、認定を受けた民間教育保育等事業者に対し、児童対象性暴力等の防止に向けた措置を求める法律です。教育・保育・学習支援・スポーツ指導・放課後児童クラブなど、こどもに接する事業の運営者が参照する場面があります。この記事では制度の入口を整理し、個別の採用可否、配置転換、懲戒、認定申請の適否判断は扱いません。 ## 法律の目的と施行スケジュール こども性暴力防止法は、教育・保育等の場で、こどもが児童対象性暴力等の被害を受けることを防ぐための制度です。こども家庭庁は、同法の施行に向けた周知資料や関係告示、通知、検討会資料を公表しています。法律は令和6年法律第69号として成立し、施行日は2026年12月25日と案内されています。施行までに、学校設置者等、認定を受ける民間教育保育等事業者、従事者、養成機関、自治体が準備を進める必要があります。 | 項目 | 内容 | |---|---| | 正式名称 | 学校設置者等及び民間教育保育等事業者による児童対象性暴力等の防止等のための措置に関する法律 | | 法律番号 | 令和6年法律第69号 | | 法令ID | 506AC0000000069 | | 施行予定日 | 2026年12月25日 | | 主な対象 | 学校設置者等、認定を受けた民間教育保育等事業者 | この法律は、性犯罪歴等の確認だけを切り出して読むと全体像を見失いやすくなります。制度の中心には、日常的な防止措置、早期把握の仕組み、犯罪事実確認、確認結果を踏まえた業務従事の扱い、認定民間事業者の表示、公表、情報管理があります。事業者は、採用時の確認だけでなく、こどもと接する環境づくり、相談・通報、研修、記録管理、個人情報の取扱いまで含めて制度を設計する必要があります。 ## 学校設置者等と認定民間教育保育等事業者 法律上の対象は、大きく学校設置者等と民間教育保育等事業者に分かれます。こども家庭庁の周知資料では、学校、認可保育所、認定こども園、児童養護施設、障害児施設などの学校設置者等は、法律で定める性暴力防止の取組の義務対象として説明されています。一方、認可外保育施設、放課後児童クラブ、学習塾、スポーツクラブなどの民間教育保育等事業者は、こども家庭庁に申請し、認定を受けた場合に法律上の対象となる仕組みとして案内されています。 この区分は、事業者の準備に直結します。学校設置者等は、法律上当然に対象となるため、施行に向けて組織内規程、従事者管理、犯罪事実確認の流れ、防止措置、保護者への説明を整える必要があります。民間教育保育等事業者は、まず自社の事業が認定対象に該当するか、認定を受けるか、認定を受ける場合にどの事業所・サービス・従事者を対象にするかを確認することになります。 民間事業者にとっては、認定を受けることにより、利用者に対して一定の取組を示しやすくなる一方、法律上の措置や情報管理の責任も生じます。学習塾、習い事、スポーツ教室、ベビーシッター、放課後児童クラブのように、こどもと継続的に接するサービスでは、講師、コーチ、アルバイト、委託先、ボランティアにどこまで制度を適用するかが実務上の確認点になります。雇用契約だけでなく業務委託契約やフランチャイズの運営形態も整理が必要です。 ## 犯罪事実確認と情報管理 日本版DBSとして注目される部分は、対象従事者について一定の性犯罪前科の有無に関する情報を国が提供する仕組みです。法律では、学校設置者等や認定を受けた民間教育保育等事業者が、対象従事者について犯罪事実確認を行い、その結果を踏まえて児童対象性暴力等の防止措置を講じる枠組みが定められています。確認は、事業者が自由に前科情報を収集する制度ではなく、法律上の手続と目的に沿って行われるものです。 犯罪事実確認で扱われる情報は、従事者の職業生活やプライバシーに大きく関わります。そのため、情報の取得、閲覧、保存、共有、廃棄、利用目的の限定を慎重に設計する必要があります。確認結果を誰が見るのか、採用担当、施設長、本部人事、法務、外部委託先のどこまで共有するのか、記録をどの期間保管するのか、情報漏えい時にどう対応するのかを、施行前に規程化しておくことが重要です。 また、犯罪事実確認は、こどもを守るための制度の一部です。確認結果だけでリスク管理が完結するわけではありません。採用面接、身元確認、研修、複数人対応、死角の少ない施設設計、相談窓口、保護者への連絡体制、業務中の記録、異変の早期把握を組み合わせる必要があります。こども家庭庁資料でも、日頃から性暴力を未然に防止する環境づくりを進め、早期発見の仕組みを整えることが示されています。 ## 防止措置と雇用管理上の対応 法律の実務で難しいのは、確認結果や日常の把握により、児童対象性暴力等が行われるおそれがあると認められる場合の対応です。こども家庭庁の施行規則案に対する考え方では、雇用管理上の措置は労働法制等に従って行われる必要があり、懲戒処分は各事業者の就業規則に基づくことが示されています。つまり、こども性暴力防止法上の防止措置と、労働契約・就業規則・個人情報保護のルールを切り離して考えることはできません。 事業者が準備すべきものには、就業規則、採用時同意書、個人情報取扱規程、従事者配置ルール、研修規程、相談・通報窓口、記録保存ルール、保護者対応マニュアルがあります。業務に従事させない、こどもと一対一になる場面を避ける、配置を変更する、外部機関に相談する、懲戒手続を検討するなど、場面ごとの対応は慎重に整理する必要があります。制度対応を急ぐあまり、従事者の権利や手続保障を軽視しないことも重要です。 こどもと接する事業では、正社員だけでなく、短時間勤務者、アルバイト、外部講師、業務委託、送迎担当、補助者、研修中の学生など、多様な人が関わります。対象従事者の範囲を曖昧にしたまま運用すると、確認漏れや過剰確認が生じやすくなります。施行前には、業務内容ごとにこどもとの接触の有無、単独対応の有無、継続性、指揮命令関係を整理し、犯罪事実確認の対象と防止措置の対象を分けて管理することが必要です。 ## 認定表示と利用者への説明 こども家庭庁は、認定を受けた民間教育保育等事業者に関する表示を定める告示を公表しています。認定を受けた事業者は、法律に基づく取組を行う事業者として表示できるため、保護者や利用者がサービス選択時に確認する材料になります。認定表示は、広告やウェブサイトでの見せ方にも関わるため、表示できる範囲、表示文言、対象サービス、認定の有効性を正確に管理する必要があります。 表示制度は、単なるマーケティング上のマークではありません。認定を受けていることは、犯罪事実確認や防止措置、情報管理、早期把握の仕組みを運用していることと結びつきます。認定対象外の事業所やサービスまで認定済みのように表示すると、利用者に誤解を与えるおそれがあります。複数ブランド、複数教室、フランチャイズ、オンラインサービスを運営する事業者は、どの単位で認定を受け、どの表示を使うかを丁寧に確認する必要があります。 利用者への説明では、性犯罪歴の確認をしているかどうかだけを強調するのではなく、こどもの安全を守るためにどのような環境づくり、研修、相談体制、通報対応、職員配置を行っているかを分かりやすく示すことが大切です。保護者は、確認制度の有無だけでなく、日常の見守りや問題発生時の対応を知りたい場合があります。事業者は、個人情報や従事者情報を不必要に開示しない範囲で、制度の目的と取組内容を説明できるようにしておく必要があります。 ## 施行前に事業者が整えること 施行予定日の2026年12月25日までに、対象事業者は自社の事業分類、対象従事者、申請・認定の要否、規程整備、システム対応、研修計画を確認する必要があります。学校設置者等は法律上の義務対象として、民間教育保育等事業者は認定を受けるかどうかの判断を含めて準備します。こども家庭庁や文部科学省からは、施行を見据えた通知や留意事項も出されているため、所管庁・自治体・業界団体の案内を継続的に確認することが重要です。 実務上は、採用時のフローだけでなく、既に働いている従事者への対応も検討が必要です。現在の職員、来年度採用予定者、学生実習、委託先スタッフ、短期イベントの講師について、いつ、どのような同意・確認・研修を行うかを計画します。情報システム面では、確認申請、結果管理、アクセス権限、ログ、保存期限、廃棄を管理できる仕組みが必要になります。紙で管理する場合でも、保管場所と閲覧者を限定する運用が求められます。 制度開始前の段階では、政令、省令、ガイドライン、Q&A、通知の更新が続く可能性があります。事業者は、古い説明資料だけで社内規程を確定せず、こども家庭庁の特設ページ、告示、通知、パブリックコメント結果、自治体通知を確認しながら準備を進める必要があります。こどもを守る制度であると同時に、従事者の権利や個人情報を扱う制度でもあるため、法務、人事、現場責任者、情報管理担当が連携して進めることが重要です。 ## 参考リンク こども性暴力防止法を確認するときは、まず法律本文とこども家庭庁の特設ページで、対象事業者、犯罪事実確認、防止措置、認定表示を確認してください。施行前後は通知・ガイドライン・Q&Aが更新される可能性があるため、最新の公式資料を継続して確認することが大切です。 - [e-Gov法令検索:学校設置者等及び民間教育保育等事業者による児童対象性暴力等の防止等のための措置に関する法律](https://laws.e-gov.go.jp/law/506AC0000000069) - [こども家庭庁:こども性暴力防止法](https://www.cfa.go.jp/policies/child-safety/efforts/koseibouhou) - [こども家庭庁:こども性暴力防止法の施行に向けた周知依頼](https://www.cfa.go.jp/assets/contents/node/basic_page/field_ref_resources/80127231-8582-476e-a6e7-9347e725ed96/f098d570/20251006_policies_child-safety_efforts_koseibouhou_11.pdf) - [日本法令索引:学校設置者等及び民間教育保育等事業者による児童対象性暴力等の防止等のための措置に関する法律](https://hourei.ndl.go.jp/simple/detail?current=-1&lawId=0000164848)