--- title: "空港法とは:空港の設置と管理" description: "空港法の設置・管理主体、工事費用、空港供用規程を解説。空港や地域交通の制度を調べる人に向け、着陸料、空港機能施設、利用者の協議会、脱炭素化推進計画を航空法との役割の違いも含めて整理します。" date: 2026-09-15 category: 法令解説 tags: [空港, 航空行政] related_laws: [331AC0000000080] draft: false --- 空港法(昭和31年法律第80号、法令ID:`331AC0000000080`)は、空港の設置・管理、費用負担、供用、脱炭素化等の措置を定める法律です。空港管理や地域交通の担当者、空港の制度を調べる人が、管理主体と施設運営の関係を確認する際に参照します。この記事は空港の管理制度を扱い、個別空港の利用条件、航空機の運航・操縦資格の基準は扱いません。条文は[法令全集](/view/331AC0000000080)と[e-Gov法令検索](https://laws.e-gov.go.jp/law/331AC0000000080)にあります。 2026年9月15日時点で、2025年12月1日施行版を参照しています。 ## 空港の定義と設置・管理の基本方針 第2条は、空港を公共の用に供する飛行場として定義し、附則の政令で定める飛行場を除外しています。航空機が離着陸する場所すべてを、空港法上の空港として同じように扱うわけではありません。公共の利用に供する施設の設置・管理が、この法律の中心です。 第1条は、利用者の便益、航空の発達、産業・観光等の国際競争力、地域の活力とともに、環境保全と脱炭素化を目的に位置づけています。滑走路を整備する費用だけでなく、運営や周辺地域への影響も含めた法律になっています。 第3条は国土交通大臣が定める基本方針について、整備・運営、周辺地域との連携、騒音等の障害防止や生活環境改善、空港相互の連携などを定める構成です。空港管理者だけでなく、関係自治体、事業者、地域住民等との連携・協力が基本理念として示されています。 空港法がこうした公共施設の管理を扱うのに対し、航空機・航空従事者・運航等の安全制度は航空法が中心になります。同じ空港に関する事務であっても、施設をどう管理するかと、航空の安全基準をどう満たすかは区別して読む必要があります。[根拠:第1条〜第3条](https://laws.e-gov.go.jp/law/331AC0000000080#Mp-At_1) ## 空港の区分と工事費用の負担 第4条は国際・国内航空輸送網の拠点となる空港について、設置・管理を定めています。第1項の原則に加え、成田、関西・大阪、中部の各空港について会社による設置・管理等の規定があります。同条第1項だけを読み、列挙された空港をすべて同じ管理主体と説明することはできません。 第5条は、輸送網を形成する上で重要な役割を担う地方管理空港について、関係地方公共団体の協議で定める地方公共団体が設置・管理する制度を置いています。対象空港の名称・位置は政令で明らかにされ、自治体間の協議には議会の議決が関係します。 工事費用は第6条以下に区分されています。国が管理する一定の空港と地方管理空港では負担の規定が異なり、滑走路等の新設・改良、空港用地、排水施設等についても条文が分かれます。管理主体と、ある工事の費用を負担する主体が常に一つとは限りません。 第8条は地方管理空港の一定の工事について国と地方公共団体の負担を定める一方、排水施設等には予算の範囲内の補助を規定しています。法律上の負担と裁量的な補助は表現が異なるため、「空港整備には一律の国庫補助率がある」とまとめず、対象工事と空港区分を対応させて確認します。[根拠:第4条〜第8条](https://laws.e-gov.go.jp/law/331AC0000000080#Mp-At_4) ## 供用規程・着陸料と機能施設の運営 第12条は空港供用規程を定め、運用時間等のサービス内容、利用者等が守る事項などを公表することを求めています。空港施設があることと、どの時間・条件で供用するかは別です。供用規程は基本方針に適合する必要があり、国土交通大臣以外の管理者の届出も定められています。 第13条は着陸料その他の滑走路等の使用料の届出を扱います。特定利用者への不当な差別的取扱いや、利用を著しく困難にするおそれのある不適切な料金について変更命令を定めています。旅客が支払うあらゆる料金を同条の着陸料と呼ぶものではありません。 第15条の空港機能施設は航空旅客・貨物の取扱施設や給油施設です。国管理空港でこれらの建設・管理を行う者の指定について、計画、経理的基礎、技術的能力等の要件を定めます。空港管理者と、旅客ターミナル等を運営する事業者の役割は区別されています。 第14条の協議会には、管理者、航空運送事業者、機能施設の事業者、自治体等が参加し、利用者の利便向上に必要な協議を行う仕組みがあります。一つの空港を利用する体験の背後に複数の主体がいるため、供用条件・料金・施設運営を調整する制度が置かれています。[根拠:第12条〜第15条](https://laws.e-gov.go.jp/law/331AC0000000080#Mp-At_12) ## 旅客取扱施設利用料は上限認可と届出を分ける 第16条は、航空旅客の取扱施設を管理する指定空港機能施設事業者について、旅客取扱施設利用料の制度を定めます。旅客から徴収する施設利用の料金を対象とし、省令で定める一定の料金は除外されます。第13条の滑走路等の使用料とは、料金を徴収する主体と利用の対象が異なります。空港に関係する料金を一つの制度にまとめないことが重要です。 同条では、事業者が利用料の上限を定めて国土交通大臣の認可を受け、その上限の範囲内で具体的な利用料を定め、あらかじめ届け出ます。上限の審査では、能率的な経営の下での適正な原価に適正な利潤を加えた額を超えないかが確認されます。上限を認可する段階と、実際に適用する額を届け出る段階を分けた構成です。 届出された利用料が特定の利用者を不当に差別する場合の変更命令や、インターネット等による公表も同条に規定されています。空港管理者が公表する供用条件とは別に、施設を管理する事業者の料金にも審査・届出・公表の仕組みが設けられています。 第18条は、指定空港機能施設事業者が空港機能施設事業の経理と他の事業の経理を区分して整理することを求めます。一つの事業者が複数の事業を行う場合にも、機能施設事業としての経理を区別する制度です。指定事業者の法人の合併・分割には、第17条による認可も関係します。施設の運営は建設時の指定だけで終わらず、料金、経理、事業主体の変更まで継続して扱われます。[根拠:第16条〜第18条](https://laws.e-gov.go.jp/law/331AC0000000080#Mp-At_16) ## 空港脱炭素化推進計画と関係者の協議 第24条は国土交通大臣である管理者の空港脱炭素化推進計画、第25条はそれ以外の管理者による計画と認定を定めています。計画は目標、再生可能エネルギー発電設備等の事業、その実施主体を記載する構成で、単に環境配慮を宣言するものではありません。 事業の実施主体となる者の同意や、地方公共団体実行計画との適合も規定されています。空港管理者だけで完結する事業とは限らず、設備を設け運用する主体や地域の計画と結びつける仕組みです。 第25条の認定では、基本方針等への適合、円滑・確実な実施の見込み、航空の安全確保への支障がないことを確認します。脱炭素化の効果だけを理由に、航空安全の条件を省略する構成にはなっていません。認定後の公表や計画変更の認定も定められています。 第26条は計画の作成・実施等を協議する空港脱炭素化推進協議会を定めます。第14条の利用者利便に関する協議会と目的を分けて設けられており、空港法は管理と環境対策をそれぞれの計画・協議の制度で進める枠組みを備えています。[根拠:第24条〜第26条](https://laws.e-gov.go.jp/law/331AC0000000080#Mp-At_24) 第14条の利便向上の協議会も、単に意見を交換する場というだけではありません。所定の事業者に協議事項を事前に通知し、正当な理由がある場合を除いて協議に応じること、協議が調った事項について構成員が結果を尊重することを定めます。管理者と事業者の異なる役割を前提に、共通の課題を調整する手続きが設けられています。 ## 参考リンク 空港管理と計画の仕組みは、次の公式条文に基づいています。 - [e-Gov法令検索:空港法](https://laws.e-gov.go.jp/law/331AC0000000080) - [参照した2025年12月1日施行版](https://laws.e-gov.go.jp/law/331AC0000000080/20251201_507AC0000000055)