--- title: "情報公開法とは:行政文書の開示請求と決定" description: "情報公開法の対象となる行政文書、請求書と補正、不開示情報と部分開示を解説。30日の決定期限と延長・大量請求の特例、第三者の意見、開示方法と手数料、審査請求を整理します。" date: 2026-09-15 category: 法令解説 tags: [情報公開, 行政文書] related_laws: [411AC0000000042] draft: false --- 行政機関の保有する情報の公開に関する法律(平成11年法律第42号、法令ID:`411AC0000000042`)は、国の行政機関が保有する行政文書の開示請求と決定、開示の実施等を定める法律で、「情報公開法」と呼ばれます。行政の活動を調べる人が、請求対象や不開示の仕組みを確認する際に参照します。この記事では国の行政文書の開示制度を扱い、特定文書が開示されるかの判断や自治体条例の手続は扱いません。[法令全文](/view/411AC0000000042)と[e-Govの条文](https://laws.e-gov.go.jp/law/411AC0000000042?occasion_date=20260915)により、2026年9月15日時点の内容を説明します。 ## 開示の対象は保有する行政文書 第1条は、政府の活動について説明する責務と、公正で民主的な行政の推進を目的に掲げています。そのための中心的な制度が、第3条の、何人も行政文書の開示を請求できる権利です。 第2条の行政文書は、職員が職務上作成・取得し、組織的に用いるものとして行政機関が保有する文書、図画、電磁的記録です。紙だけではなく電子的な記録も含みます。一方、不特定多数に販売する目的の出版物、特定歴史公文書等、一定の施設で特別管理される資料等は除外されています。行政に関係する情報がすべて同じ制度の対象になるわけではありません。 また、この法律が定義する行政機関の保有文書を対象とするため、知りたい質問に新たな回答書を作成してもらう一般的な問い合わせとは区別されます。請求では、どの機関が、どの職務に関連して作成・取得し、保有している文書かが重要です。対象機関と文書の定義を最初に確認することで、個人情報の開示や自治体の情報公開など、別の根拠による制度との取り違えを避けられます。[根拠:第1~3条](https://laws.e-gov.go.jp/law/411AC0000000042?occasion_date=20260915) ## 文書を特定して請求し、必要に応じて補正する 第4条は、請求者の氏名・名称と住所等、対象文書を特定するに足りる事項を記載した書面の提出を定めています。正式な文書名だけでなく、対象を特定できる事項を示す構成です。 形式上の不備がある場合、行政機関の長は相当の期間を定めて補正を求めることができます。その際、補正の参考となる情報を提供するよう努めることも規定されています。行政側が保有する文書を請求者が完全に把握していることだけを前提にせず、特定に必要な情報を補う仕組みがあります。 第12条には、他の行政機関が作成した文書など、他機関で決定することに正当な理由がある場合の事案移送があります。機関同士の協議と請求者への通知を経て、移送先が決定・実施を担当します。請求先に文書がないことと、他機関へ事案を移すことは別の扱いです。文書の特定、補正、移送という手続を分けて読むと、請求受付後に何を確認しているのかが整理できます。[根拠:第4条・第12条](https://laws.e-gov.go.jp/law/411AC0000000042?occasion_date=20260915) ## 不開示情報と部分開示を組み合わせる 第5条は不開示情報を除く開示義務を定めています。個人情報、法人等の正当な利益、国の安全、公共の安全、審議・検討、事務事業の遂行などに関する情報について、それぞれ条件があります。 例えば法人情報は、法人の名前が出ていれば当然に不開示という規定ではなく、競争上の地位や正当な利益を害するおそれ等に着目します。個人情報にも、公表が予定されるものや、生命・健康等の保護のために公にする必要がある情報等の例外があります。行政機関等匿名加工情報等については、第1号の2に独立した規定が置かれています。 第6条は、不開示部分を容易に区分して除ける場合、残りに有意の情報がない場合を除き、部分開示を求めます。一部に非公開情報があることと、文書全体を非公開にすることを分けています。第7条は一定の不開示情報について公益上の裁量的開示、第8条は存在の有無を答えるだけで不開示情報が明らかになる場合の存否応答拒否を規定します。単純な公開・非公開の二択ではなく、保護する情報の性質に応じた仕組みです。[根拠:第5~8条](https://laws.e-gov.go.jp/law/411AC0000000042?occasion_date=20260915) ## 30日の決定期限と大量請求の特例 第9条は全部・一部の開示と不開示の決定を定め、書面による通知を求めます。第10条は、その決定を原則として開示請求から30日以内に行うとしています。 補正に要した日数はこの期間に算入されません。また、事務処理上の困難など正当な理由がある場合、30日以内の延長ができ、延長後の期間と理由を通知する必要があります。したがって、請求書の提出から必ず30日以内に文書の写しまで届く、という規定ではありません。法律が定めるのは決定の期限であり、実際の開示は別の手続です。 第11条は文書が著しく大量で、60日以内にすべてを決定すると事務遂行に著しい支障が生ずるおそれがある場合の特例を設けます。相当部分をその期間内に決定し、残りは相当の期間内に決定する制度で、適用理由と残りの期限の通知が必要です。通常期限、延長、大量文書の特例という三つを分けることで、通知書に示される処理期間の根拠を確認できます。[根拠:第9~11条](https://laws.e-gov.go.jp/law/411AC0000000042?occasion_date=20260915) ## 開示方法・第三者の意見と審査請求 第14条は、文書・図画の閲覧や写しの交付、電磁的記録の種別に応じた方法を定めます。開示決定後、請求者が実施方法等を申し出る段階が設けられています。 第16条は、開示請求の手数料と開示実施の手数料を分け、額等を政令に委ねます。利用しやすさへの配慮と、特別な理由による減免の制度もあります。文書の公開可否を決める手続と、どの方法で受け取るか、その費用は別々に規律されています。 対象文書に第三者の情報がある場合、第13条は第三者に意見書提出の機会を与える制度を設けています。また、開示決定等や不作為に対する審査請求について、第19条は原則として情報公開・個人情報保護審査会等への諮問を求めます。第三者の意見だけで開示可否が自動的に決まる制度でも、審査会が最初の請求を受け付ける制度でもありません。請求、決定、実施、不服申立ての各段階に役割が分かれています。[根拠:第13条・第14条・第16条・第19条](https://laws.e-gov.go.jp/law/411AC0000000042?occasion_date=20260915) ## 請求を支える案内と制度運用の公表 情報公開法は、開示請求を受けてからの判断だけでなく、請求前の情報提供も定めています。第22条は、請求しようとする人が容易かつ的確に請求できるよう、行政文書の特定に役立つ情報の提供その他の措置を行政機関の長に求めています。文書の名前が分からないことを、請求者だけの問題として扱わない制度です。 同条は、総務大臣による開示請求の総合的な案内所の整備も定めます。請求対象の機関や文書を見つけるための案内と、実際に開示するかどうかを決定する手続は役割が違います。窓口の案内だけで開示決定が完了するわけではありませんが、適切な請求につなげる前段階を支えています。 第23条は、総務大臣が各行政機関の長に施行状況の報告を求め、その報告を毎年度取りまとめて概要を公表する仕組みです。個々の請求に対する通知とは別に、制度全体の運用を把握するための情報も公表します。第24条は、保有情報を適時・適切な方法で国民に明らかにするため、情報提供施策の充実に努めることを政府に求めています。 第25条は地方公共団体にも、法律の趣旨にのっとった情報公開施策の策定・実施への努力を求めます。ただし、国の行政文書を対象とする請求手続を、そのまま自治体の手続として定める規定ではありません。請求に基づく開示、行政からの情報提供、運用状況の公表という三つを備え、文書の公開を継続して進める構成になっています。[根拠:第22~25条](https://laws.e-gov.go.jp/law/411AC0000000042?occasion_date=20260915) ## 参考リンク 対象文書、決定、実施の根拠は、次の現行条文を参照できます。 - [e-Gov法令検索:行政機関の保有する情報の公開に関する法律](https://laws.e-gov.go.jp/law/411AC0000000042?occasion_date=20260915)